バナナの木【200字作文】

200字作文

 私が幼い頃、バナナの木を植えた家があった。坂の上にある家で、周囲と不釣り合いなその熱帯の植物は、坂の下からでもよく見えた。まるで南国を懐かしむかのように一本さびしく田園を見下ろしていた。バナナが貴重な時代である。子供たちは黄色い実を見たがった。小さな青い実は何度も目にしたが、大きくなった食べごろの熟れた実は不思議と見たことがない。異国の子供たちの夢をかなえるには、異国の気候は少し厳しすぎたのか。(2010/8/18 作)

【自身のコメント】思わず擬人法(ぎじんほう)を使いたくなるようなバナナの木でした。

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