補助輪つきの自転車の頃、急な坂道を自転車で下り降りる遊びがはやった。自分の番になりペダルを踏む。スピードが増し、強くハンドルを握る。下のT字路が迫り、いつものようにブレーキを…、効かない! 正面にブロック塀が迫る。自転車ごと倒れて止めようとしたが、補助輪が邪魔で倒れない。激突を覚悟した瞬間、自分の手は無意識にハンドルを右に切った。クルっと回転し止まる。仲間に平静を装い、私は静かに自転車を降りた。(2010/5/20 作)
【自身のコメント】実話です。子どもらしい、ささやかなプライドを、最後の1文で表現できたのではないかと思います。
コメント