私が小学生の頃は、道ばたや野原で自由に焚き火のできる時代だった。冬の寒い朝、小学生はだれかの家に集まり、登校前に焚き火で体を温めた。寒風の中も、焚き火のまわりは別世界。勢いよく燃える火を大人も取り囲み、小学生に笑顔で話しかけていた。雪の多い時代だった。白い雪化粧の中で赤々と燃える炎は、輪になって見つめる子供や大人、そして前に並べたモチを同時に温めていた。今より寒く、そして今より温かい冬だった。(2010/06/01 作)
【自身のコメント】昔は、焚き火が世代をこえたコミュニケーションの場の一つでした。それがなくなったのは残念です。みなさんも、思い出の中に埋もれた、温かい情景を探して作品にしてみてください。
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