三差路【200字作文】

200字作文

 子供の頃、よく歩いた山道がある。その道をしばらく行くと、左に曲がれば墓地に続く道、真っすぐ行くと棚田に向かう道という三差路にさしかかる。そこの片隅には、目立たず静かに山の地下水が流れ出ていた。手を洗ったり水筒に水を満たしたり、棚田での仕事に向かう両親もよく立ち寄った。春はツツジの赤、秋はススキの白と景色を変えた。生きる大変さ、命を終えることへの不安、両方を子供の私に教えてくれる美しい山道だった。(2010/8/19 作)

【自身のコメント】現在、この場所にはアパートが建ち並んでいます。

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